あ~、失敗したわぁ~
エタノールの入ったコスメ品、なんだかお肌に合わないみたい
ああ、個人差があるみたいね、エタノール配合品って
てか、助手の場合はアルコール飲料に顔面を突っ込んで飲むから、そっちのエタノールの刺激が強すぎるんじゃない?
そんなアクロバティックな飲み方せんわ!
敏感肌なの!
こうなると「エタノール入り」の商品はあきらめるしかないのか……
エタノールの刺激が問題なんよね
その対策になるか分からんけど、ヒアルロン酸にエタノールの影響を減らす効果がある、って文献が出てるよ
なので「ヒアルロン酸配合品」を併用したら、案外イケるかもしれないね、シランケド
ふ~ん、じゃあこの韓国コスメブランド【NEOGENネオゼン】のブラックエナジークリーム (ヒアルロン酸入り)はどうよ?
さぁ?
でも、もし文献にある効果が得られたら、お肌への刺激が半減するかもしれないね
もし、得られたら、ね……
不穏な表現だな、おい
でもまあ、うまくいけばコスメ選択の幅が拡がるかもしれんし、詳しく聞こうか
というわけで、この記事では「ヒアルロン酸にエタノールの刺激を減らす効果がある 」的な文献を交え、お肌をエタノール荒れから救う(?)かもしれない、ヒアルロン酸の作用をお伝えします。
きっと記事を読み終えたとき、あなたはアルコール飲料に顔面を突っ込んだ後、きちんとヒアルロン酸でケアする習慣が身に付くことでしょう。
そんな習慣はいらん……
炎症性サイトカインの分泌量を半減!|ヒアルロン酸の効果
それじゃあ、さっそく文献紹介ですよ
メインの文献をめっちゃ簡単にまとめると、Neuman (2011)はエタノールに由来する炎症性サイトカインの分泌量が、ヒアルロン酸処理で半減した、と報告しました
ちなみにこれ、表皮細胞の培養実験でのデータだよ
表皮細胞は皮膚ってことでいいんだよね
で、その表皮細胞が分泌するサイトカインって何?
サイトカインは細胞が分泌するタンパク質の総称だよ
サイトカインには色んな種類があるけど、ここでは「TNF-α」のことね
TNG-αは炎症を起こす原因物質として知られているよ (Neuman, 2002)
皮膚の細胞をエタノールに浸けると、その細胞から炎症を引き起こすタンパク質が分泌される、その炎症が肌荒れにつながるってことね
だいたいそんな感じ
ちなみにエタノールの悪影響として、サイトカインの分泌以外にも、細胞毒性の増加が同時に起こっているそうな
これが行き過ぎると細胞死するそうな (Neuman, 2010)
「お肌の刺激」、その内容は結構エグイのね……
にやり……
そこで満を持して我らが救世主、Neuman (2011)の文献の出番となるわけですな
本報では、表皮細胞を色々な条件でエタノールに24時間浸けたとき、サイトカインの分泌量がどうなるかを調べているよ
んで有望な結果として、ヒアルロン酸 (4%)を培養液に加えたら、炎症性サイトカインの量が39%から16%へと減少したそうな
おお、炎症性サイトカインの半減!
つまりは、お肌への刺激低下ね
そうね、ちなみにこの時、サイトカインの量だけでなく細胞毒性も減少したそうな
ということは、このヒアルロン酸の効果がお肌で機能すれば、助手もエタノール入りコスメが使えるかもしれない
機能すれば、だけどね……
その含みのある表現をやめなさい
そういや先の文献には、他にも面白いデータが載ってるよ
なんでも、表皮細胞をエタノールに浸ける時間を2倍 (48時間)にしたら、細胞毒性が約1.5倍にはね上がったんだと
エタノールに浸ける時間を延ばしたら毒性が1.5倍、おっかないな
うん、おっかないね
助手がアルコール飲料に顔面を48時間突っ込んだら、いつもの1.5倍肌荒れする可能性があるってことだもんね……
やらんわ!
てか、肌荒れ以前に溺死するわ!
なぜエタノールを使ったコスメがあるのか
以上がヒアルロン酸の素晴らしき性能でした
勉強になったわ
てかさ、そもそも何でエタノールを使ったコスメがあるわけ?
水じゃだめなの?
いくつかの機能では、「エタノールが水より優れている」ってのが理由のひとつかも
例えば、「水に不溶な有効成分を溶かせる」機能とか、その「有効成分の運び屋」的な機能とか
運び屋の機能?
そう、運び屋
エタノールには、特定の有効成分の皮膚透過性を上げる性質があるんだよ
例えばPershing (1990)曰く、有効成分のひとつ「エストラジオール*」の透過性は「エタノール入り」だと10倍になるんだと
お肌に良き成分が角質層にシミシミですな
皮膚老化の、抑制、だ、と……
こいつぁ、エタノールで肌荒れさえしなけりゃ試したいところだな
でもだからといって、エタノールに顔面を突っ込んだらダメだよ
毛細血管が拡張して、お肌に紅斑ができるから (Haddock, 1982)
「血行が良い」を行き過ぎた、荒れ荒れお肌になっちゃう
いいかげん「顔面を突っ込む」ネタやめろし
まとめ
今回の内容をおさらいしてみましょう
本記事のまとめ
- ヒアルロン酸はエタノールに由来する炎症性サイトカインの分泌量を半減する (表皮細胞を使ったラボ試験)
- 本実験では、表皮細胞をエタノールに浸ける時間を増やすと細胞毒性も増加する
- エタノールはエストラジオールの皮膚透過性を10倍上げる
- エタノールに顔を突っ込んではいけない、紅斑ができるから
まとめの最後!
最後の1個はいらねぇ!
てかさあ、結局のとこ 韓国コスメブランド【NEOGENネオゼン】のブラックエナジークリームって、そのヒアルロン酸の効果でエタノールの刺激を減らせるわけ?
さあ?
今回の事例ってあくまで「細胞の培養実験」で効果があった、って話ね
なので、実際のお肌で炎症が抑制されるかは未知数ですな
とりあえず、次回エタノール配合品を使うときは「どうか、お肌を刺激しませんように」と祈りながらヒアルロン酸を併用してみたら? (効くかはシランケド)
結局、自分の顔で試すしかないのかよ……
顔面をアルコールに突っ込んでしまったら→ 韓国コスメブランド【NEOGENネオゼン】
本日の出典
- Neuman MG. et al., In vitro Anti-Inflammatory Effects of Hyaluronic Acid in Ethanol-Induced Damage in Skin Cells, J Pharm Pharmaceut Sci (www.cspsCanada.org) 14(3) 425 – 437, 2011
- Pershing I. K., et al., Mechanism of ethanol-enhanced estradiol permeation across human skin in vivo, Pharm Res. 1990 Feb;7(2):170-5. doi:
- Haddock NF., Cutaneous Reactions to Lower Aliphatic Alcohols Before and During Disulfiram Therapy, Arch Dermatol 1982;118:157-159
- Neuman MG, et al., Ethanol signals for apoptosis in cultured skin cells. Alcohol, 2002b; 26:179-190.
- Neuman MG, et al., Hyaluronic acid signals for repair in ethanol-induced apoptosis in cultured skin cells. Clin Biochem, 2010; 43:822-826.
- Stevenson S., Effect of estrogens on skin aging and the potential role of SERMs, Clin Interv Aging. 2007 Sep; 2(3): 283–297.