エリンギは本気を出したらどこまでエレクトするのか|#7 種菌つくり開始

007|エリンギは本気を出したらどこまでエレクトするのか|栽培|培養 きのこ栽培 開発 廃菌床

前回のおさらい

ガチでエレクトしたエリンギが見たい

そんな少年たちの夢を叶えるため、著者の挑戦が始まった。エレクトを実現する栽培技術を開発するのだ。

彼はまず、エリンギ栽培の基本となる種菌 (=菌糸の塊)つくりに取りかかった。

これに必要なのは寒天培地、そしてPDA培地を作ることだ。

試薬が買えない、助手がアブナイ。さまざまな困難を乗り越え、彼はついに2種類の培地 (もどき)を作り出した。

あとはエリンギのオリジンとなる菌糸を採取できれば、種菌つくりは成功したも同然だ。

しかし、その肝心なエリンギは沈黙していた。菌糸が伸びてこないのだ。

これでは種菌をつくれない。ラボは閉鎖の危機を迎えていた。

どうすんのさ?

種菌をつくるよ

やあ、良い子のみんな、こんにちは。

あれこれ買いすぎて、実験資材の置き場に困っているbonだよ。

廊下もごちゃごちゃ

消防署から怒られるだ~ね

さて、そんな些末は気にせずに、今日はエリンギの種菌 (=クローン)つくりをやっていくよ。

それではさっそくクローンのオリジンこと、ポール氏に登場してもらいましょう。張り切ってどうぞ。

ポール氏

エリンギのサンプル。サイズはそこそこだったが、本体は助手に両断された

まずは観察|寒天培地のポール氏

017|2 210407-寒天培地|計量|エリンギ栽培|培養|圧力鍋|滅菌
寒天培地|培養3日後

ぜんぜん増えてないじゃん

おっかしいぞぉ??

ポールを寒天培地にセットしてから3日、そろそろ菌糸が伸びてきてもいいんだけど。

うんともすんとも言わないよ、この子。

もしかして表面殺菌したとき、ポールも一緒に召されちゃったかしらん?

表面殺菌

ポールを寒天培地にセットする直前、濃ゆいエタノールでガッツリ殺菌したのであった

無理やり作った塩入り寒天培地のせいじゃない?

それもあり得ますなぁ

う~ん、ここまで市販品でゴリ押し実験してきたけど、そろそろ限界ですかねぇ。

まあ、とにかく引き続ぎ様子を見ませう。

培養5日後

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寒天培地|培養5日後

うぉおおおお!!

しゅ、しゅごぉおおおい!!

ポールから菌糸が出てるよぉおおお!!

ふふふ、成功だ

よく見えないんだけど?

もう、助手氏ったら若いのに、もう老眼きちゃってるのかな?

でも大丈夫ですよ。

そんなアナタのために買っておきました。ラボと言えばやはりコレでしょう。

022|210407-寒天培地|計量|エリンギ栽培|培養|圧力鍋|滅菌
人がゴミのようだ

そう、光学顕微鏡ですッ!

コヤツを使えば、どんな小さなものだって覗けちゃいますよ。

カビでも、バクテリアでも、助手氏の毛穴だってプロジェクターでドアップでさあ!

死なす

てなわけで、見せてもらおうか。光学顕微鏡の性能とやらを。

ポールのオリジン、大地に立つッ

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寒天培地|100倍してみる

おお!! ぽぉーるぅぅううう!

組織片からモッサリ生えているじゃないか!!

会いたかったよ、マイフレンドよ。

キミが助手に惨殺されてから、実に5日ぶりの再会じゃあないか。息災そうで何よりだよ。

人聞きが悪いな

見たところ、雑菌も憑り付いていないようだし、これならPDA培地に移植できるね。

もうちょいと菌糸が伸びたらオペしましょう。

と、思いきや緊急オペだ

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雑菌が混入しとる

あら? あらあらあら?

シャーレをもう一度よく見たら、右上のポールが雑菌に喰われとるね。

それも、アオカビ謎バクテリアのコラボレーションっ!!

彼は手遅れですな

なんてこったい、恐れていた雑菌の混入じゃあないか。

これは非常に由々しき事態ですよう。残った2個のポールが貞操の危機ですッ!

どーゆーことだよ?

あの雑菌、胞子をまき散らかすのよ

いちおう顕微鏡でチェックしてみたけど、今のところ、残りのポール2体は雑菌に感染してなさそうだよ。

でもいつ胞子が舞っても、おかしくない状況だね。

てなわけで、緊急オペを開始します。

ちょいと早いけど、無事なポールをPDA培地に移植するよ。

緊急手術|ポールをPDA培地に移植する

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これより、オペを開始するッ

というわけで、緊急手術のお時間です。

いつも通り、アルコールランプでこさえたクリーンルームで作業していきませう。

クリーンルーム

雑菌フリーの素敵空間。アルコールランプによる上昇気流で雑菌を寄せ付けない寸法

手術って言ってもヤルことは簡単だよ。ポールの無事な部分をPDA培地に移すだけ。

白金耳 (はっきんじ)を火炎消毒して、ちょいちょいと寒天をポールごと切り出せばOKよ。

写真の金属棒が白金耳

脱出完了=クローン培養開始

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感染してませんように

てなわけで、【寒天培地】→ 【PDA培地】の移植手術はアッサリ終了ね。

PDA培地は栄養たっぷりのエサだから、脱出したポールがバクバク食べて、モサモサ育つハズよ。

移植した欠片、雑菌に汚染してないわけ?

さあ?

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予備のクローンを作製しまくる

でもまあ、雑菌の感染が不安だから、同じように移植したシャーレをいっぱい作ったよ。

このうち、シャーレ1枚でも移植が成功してたら万々歳だね。

解決策が原始的だな

これでしばらく放置しておけば、ポールが育ってモッサモサになる寸法ですな。

そしてそのモッサモサな菌糸こそが種菌なのですよ。

やれやれ、今回のトラブルは雑菌の混入くらいでしたな (ぜんぜん余裕でつまらぬッ)。

さて、次回はいよいよ本培養の開始ですよぅ (たぶん)。

ちゃんとキノコができるか、チェックするわけね

まあ、種菌ができてりゃ、ね…… (意味深)

ポールのPDA培地への移植は完了した。いよいよ種菌つくりは最終段階へと入ったのだ。

しかしながら、移植されたポールは、本当に雑菌感染していないのか?

ポール①「おい、血が出てるぞ」
ポール②「なぁに、ちょっと引っかかれただけだ」

そんなやり取りを他所に、PDA培地は培養フェーズに移行したのだった。

全体フローね

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